2006/02/20
◆私は、2005年4月~2006年1月まで、ビジネス能力という講義を通じ、①SIFE(Students in Free Enterpriseの略で、米国に本部を置く学生による社会貢献活動を支援する非営利団体)が主催するコンペ(学生のアイデアに基づく社会貢献事業の成果による競争)に参加し、世界大会を目指す学生、②海外インターンシップを履修し、オーストラリアQLD州マレーニの企業で研修を行う学生を1年間支援してきました。2006年度もSIFEは参加者を拡大し、また、マレーニでの企業研修は参加者を一新し継続します。
◆支援者として私は、この講義を通じ、「方向性を示したうえで、参加者を『チーム』として扱い、チームとしての行動の熟成を待つ」というスタンスで挑みました。参加者からの質問を通じて、プロジェクトを具体的に動かしていく方針でもありました。
◆さて、(1)2005年度のSIFEは、HSBC部門のFinancial Literacy Programで一つのプロジェクト(起業双六ゲーム・プロジェクト)でカナダのトロントで開催された世界大会に出場することができました。残念ながらチーム戦では国内予選を突破できなかったのですが、参加に向けて社会貢献事業を学生と共に実践したことに基づき、次のような振返りをSIFE日本事務局に提出しました。
「SIFEの活動を通じ、個々の学生に、社会に対する責任感が芽生え、自律的な行動を起こす姿を見てとれます。Free Enterpriseという実践が優れた教育の手法であること、SIFEの活動は過程(プロセス)にこそ価値があることが分かりました。学生の想像力、思考力、独創力を高め、一歩踏み出し変革推進力を伸ばしたいと考えている支援者は、SIFEのドアをノックすべきでしょう。異なる世界がそこにはあります。」
(2)マレーニでの企業研修は、1ヶ月間企業研修とホームステイを行うプログラムです。このプログラムは、「素の自分で自然・人・文化と対話する!」 をコンセプトとしています。研修先の企業として、いずれもソーシャル・ベンチャーの役割を地域で果たしたビジネスを選定しました。参加者は、様々な気づきを得て、自分自身のキャリアの方向性を異なる観点から考え始めています。
◆この2種類のプログラムへの参加者から、私が支援したビジネス能力を振返ってもらいました。振返りは、コーチングを学ぶ社会人大学院生(銀行での実務経験があり)にコーディネート役を引き受けてもらい、その結果、次のような意見が出されました。
①自ら講義に出るモチベーションが変化
(積極的に意義を見出そうとするようになったの意)
②先生のコミュニケーション能力が高く、距離感が近く、
自分がどうしたらよいかのチャンスが見えやすい。
(あらゆる角度から質問や話し等が先生より学生に投げかけられることによる)
③講義のメンバーがチームとなっており、参加者個々が
他のメンバーをはっきり意識し、考えている。
④先生が人との出会いを大切にしていることが分かり、
かつ一人一人を良く見ている。
⑤先生には固定観念がないのでは?(偏見や先入観がないの意)
⑥講義に留まらず、先生との関係を通じ、
考えたり、行動に移したりする様々なきっかけがある。
等
◆これら参加者の振返りを踏まえた私自身の振返りから、次のようなことに改めて気づいた。
①講義をソーシャル・キャピタルの中に位置づける。
そのためには、学内外で関係性を築き、それを講義の中に取り込む。
→「大学・講義を様々なソーシャル・キャピタルが交差する場とする」
②支援者は、コミュニケーターとして存在する。
→「支援者は場のコミュニケーターとなる」
③支援者は、参加者とともに外に向き合う窓として存在し、
同時に、参加者自らが自己内省できる窓でもある。
→「参加者が窓を通して、自分に向き合い、自己変化する機会を大切にする」