2013/03/12
ベンチャービジネス論(ベンチャー企業論)は、中村秀一郎先生、平尾光司先生、清成忠男先生の共同研究を通じた議論から問題提起された。この提唱者の一人、清成先生は、私の恩師でもある。
清成先生が『学びの軌跡』を2011年3月8日に発表されている(非売品)。その中に、「私と企業家研究」という章がある。そして、章末に、『日本生産性新聞』(2007年7月25日掲載)に投稿した論考が、補論として紹介されている。以下では、補論の中から、企業家研究の問題意識を箇条書きで紹介したい。
◆私(清成忠男先生)の企業家研究については、J・A・シュンペーターに負うところが大きい。企業家が担い手となるイノベーションについては、J・A・シュンペーター1939年に発表した『景気循環論』(訳書、吉田昇三監修、金融経済研究所訳、1958年、有斐閣)が示唆に富む。
◆(J・A・シュンペーターは)「イノベーションとは新結合を遂行することである」のであり、「イノベーションを遂行する個人をわれわれは企業家とよぶ」と述べている。
◆(J・A・シュンペーターは)「新企業を創設する新人」が典型的な企業家であり、イノベーションの担い手は新人であり新企業であるという仮説を展開している。
◆J・A・シュンペーターは大企業、とりわけ巨大企業がイノベーターたりうることを否定していない。(J・A・シュンペーターは)「巨大企業は往々、その中で絶えず入れ替わる人がイノベーションからイノベーションへと移る外殻にすぎない」という。
◆(清成忠男先生は)イノベーションの担い手は、あくまでも個人としての企業家である。
◆シュンペーターのイノベーションの概念は、技術革新にとどまらず、経営機能のすべてにわたって革新的な変革があればイノベーション。現代的に言えば、ビジネスモデルの革新と考えてよい。